感染性胃腸炎(胃腸風邪・お腹の風邪)とは
感染性胃腸炎は、「胃腸の風邪」や「お腹の風邪」とも呼ばれる身近な疾患です。
感染性胃腸炎には大きく分けて、細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎の2種類があります。細菌性胃腸炎は食中毒とも称され、夏に発症数が増加する傾向があります。一方、ウイルス性胃腸炎は一般的に嘔吐下痢症とも称され、冬に発症数が増加する傾向があります。
冬に流行するウイルス性胃腸炎の中には、白血球が増えるものや、細菌性胃腸炎と似た症状が出るものなどがあります。また、細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎が同時に発生することもあります。代表的な胃腸炎の症状としては、悪寒、発熱、下痢、嘔吐、腹痛などが挙げられます。
抗生物質は細菌性胃腸炎の治療に有効ですが、ウイルス性胃腸炎の場合は自然治癒することが多々あります。
感染性胃腸炎を予防するには、手洗いを徹底し、十分に加熱調理した食品を摂取し、きれいな水を飲み、感染者との接触を避けることなどが効果的です。症状が長引く場合や感染が疑われる場合には、病院を受診し、適切な治療を受けることが必要です。
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎の症状は、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などがありますが、原因となる病原体の種類や、その方の免疫力の状態によって症状も異なります。感染後、1~3日の潜伏期間を経て発症し、症状は約2~6日間続くのが一般的です。
感染性胃腸炎は人に移る?
感染性胃腸炎は感染症であるため、周囲の人に感染させるリスクがあります。感染経路は主に2つあり、病原体に触れた手で口に触れることで感染する接触感染と、汚染された食品を食べることによって感染する経口感染が代表的です。また、感染した人の触れた物や、感染した人の嘔吐物や便で汚染された物に触れ、その手で口に触れたり、その手で食事をしたりすることによって感染する可能性もあります。
嘔吐物の場合には、飛沫感染や空気感染のリスクもあります。症状が消えても、病原体は2週間程度排出され続けるため、感染リスクはその期間も続きます。
感染性胃腸炎(胃腸風邪)を治す市販薬はある?
現在のところ、感染性胃腸炎に効く市販薬はありません。しかし胃や腸の環境を整える薬や、熱を下げる薬で症状を和らげることはあります。なお、下痢止めは胃や腸に感染したウイルスの排出を妨げてしまい、症状を長引かせるため、使用しない方が望ましいとされています。
ただし、症状がひどい場合は下痢止めを検討しても良いでしょう。下痢止めは自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従って使用してください。
感染性胃腸炎の対処法
感染性胃腸炎には特効薬がないため、症状に応じた対症療法が唯一の治療法です。下痢や嘔吐、発熱などの症状により脱水症状が起こりやすいため、水分と休息を十分にとり、安静にすることが重要です。小さなお子様やご高齢の方は重症化しやすいので、症状が重い場合は医療機関への受診をお勧めします。
水分補給を忘れずに
水分補給は感染性胃腸炎の治療にとても重要です。水やお茶でも水分補給はできますが、スポーツドリンクや経口補水液などを併用して飲むと、水分や塩分、電解質を効率的に補給できます。なお、具合が悪くて食べられない場合でも、水分補給がきちんとできていれば、無理に食べる必要はありません。
一方、嘔吐や下痢がひどい場合は、胃や腸を休めるために絶食をお勧めします。食事をする場合は、おかゆや柔らかい麺類、スープなど、消化の良いものを少しずつ食べ、症状が改善し食欲が戻ってから徐々に普通の食事に戻していくと良いでしょう。
感染対策も重要です
感染性胃腸炎は周囲への感染リスクがあるため、患者様ご自身はもちろん、周囲の方々への感染予防対策も重要です。トイレの後、調理前や食事前に手洗いの徹底、タオルやコップを共用しない、0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒することなどが重要です。ノロウイルスなどのウイルスはアルコールでは簡単に不活化されないので、家庭用漂白剤や次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒してください。
症状がひどい場合は当院へご相談ください
水分補給が困難なほど症状が重い場合や、重度の脱水症状を起こしている場合は点滴などの治療が必要と考えられるため、お早めに当院へご相談ください。